公判段階における被害者支援活動

 被害者の方々は,証人として裁判に出廷しなければならないときがあります。
 これは精神的に最も負担の大きい場面ですが,あなたのプライバシーを守り,また不安を和らげるための裁判制度があります。
 このような制度を積極的に利用し,被害者の方々の不安や精神的負担を少しでも軽くすることが私たちの目標です。

公判段階における被害者権利の保障について

裁判の優先的な傍聴

>裁判の優先的な傍聴”> 公開の法廷で行われる裁判は,原則として,誰でも傍聴することができます。裁判の傍聴を希望する場合に,事前に申込みなどの手続は必要ありません。ただし,傍聴希望者が多いことが予想される事件では,傍聴券が配布される場合があり,一般の人は傍聴券がなければ傍聴をすることができません。<br />
 しかし,このような場合でも,被害者やその親族等から事前に傍聴を希望する旨の申出があったときには,優先的に傍聴席を確保するべく,できる限りの配慮がされます。被害者側の代理人弁護士としては,裁判所に対して,このような優先的傍聴の申出をします。</p>
<h3>刑事事件の記録の閲覧・謄写</h3>
<p><img class= 刑事事件の被害者は,原則として,事件記録の閲覧や謄写(コピー)ができます。また,閲覧,謄写をしようとする事件の被告人等により行われた,その事件と同種の犯罪行為の被害者の方は,損害賠償を請求するために必要があると認められる場合には,事件記録の閲覧・謄写ができます。
 もし希望する場合には,被害者の方々は,事件を審理している裁判所に申し出ることができます。また,同種余罪の被害者の方は,検察官に申し出る必要があります。

刑事裁判への参加

 一定の刑事事件を対象とし,被害者の方々等は,裁判所の許可を得て,「被害者参加人」として下記のように刑事裁判に参加することができます。

  • 公判期日(裁判が行われる日)に出席すること
  • 検察官の権限行使に関し意見を述べ,説明を受けること
  • 証人に尋問すること
  • 被告人に質問すること
  • 事実関係や法律の適用について意見を陳述すること

 また,弁護士に委託して,弁護士とともに上記の活動をすることもできます。

公開の法廷で氏名等(被害者特定事項)を明らかにしない措置

公開の法廷で氏名等(被害者特定事項)を明らかにしない措置 裁判所は,性犯罪などの被害者の方の氏名等について,公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができます。
 決定された場合には,起訴状の朗読などの訴訟手続は,被害者の方の氏名等の情報を明らかにしない方法で行われます。被害者の方が氏名等を明らかにして欲しくない場合には,担当する検察官に申し出ることができます。

起訴状の氏名の記載を巡る,議論

起訴状の氏名の記載を巡る,議論 最近でも,起訴状への氏名の記載を巡っては,様々な議論があります。たとえば,女児に対する強制わいせつ事件において,被害者である女児の名前を伏せたまま,「母親の名前と続柄」のみを起訴状に表記した場合であっても,被害者の特定方法として問題ないとされる地裁判決がありました。また,運動部の顧問である高校教諭が,同部員の生徒に対して淫行行為をしたという児童福祉法違反事件の裁判においても,被告人の氏名が明らかになることによって,被害者生徒が特定されることで二次的な被害が生じるおそれがあることから,被告人の氏名が秘匿されることとなりました。
 
 被害者保護という観点から,様々な形で被害者特定事項を明らかにしないよう配慮した措置が採られているのです。

証人の不安や緊張等を緩和するための措置

 犯罪によって被害を受けた方等が証人として証言する場合,不安や緊張を緩和するため,次のような措置をとることが認められています。

付添人を設ける

 まず,証言をする際,家族やアドバイザー等に付き添ってもらうことができます。すなわち,証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認められる場合には,裁判所は,その不安・緊張の緩和に適当な人を,証人に付き添わせることができるのです。付添人に限定は付されていないので,各当事者が適当な人物に依頼をして,証人に付き添ってもらうこととなります。家族や医師,アドバイザーが付添人になるのが一般的です。

遮へい物を設ける

 証人と被告人や傍聴席との間につい立てなどを置き,被告人や傍聴席の視線を気にせず証言することができます。すなわち,証人が被告人や傍聴人の面前では圧迫を受け,精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる場合で,裁判所が相当と認めるときは,被告人と証人,あるいは,傍聴人と証人との間に遮へい物を設けることができるのです。ただし,被告人と証人との間に遮へい物を設ける場合には,弁護人が出頭していることが必要になります。

ビデオリンク方式

 事件によっては,法廷とテレビ回線で結ばれた別室で証言することが可能です。
 すなわち,強制わいせつ罪や強姦罪等の性犯罪や児童福祉法違反等の被害者は,裁判所が相当と認めるときに,同じ裁判所内の別室に証人として在席させ,法廷内にいる訴訟関係人等がテレビモニターを用いてその姿を見ながらマイクを通じて尋問を行うビデオリンク方式を用いることができるのです。

法廷での心情や意見の陳述

法廷での心情や意見の陳述 犯罪によって被害を受けた方や遺族の方は,法廷で,被害に対する現在の自分の気持ちや意見を述べることができます。
 具体的には,被害に関する心情その他の意見の陳述と,事実または法律の適用についての意見の陳述があります。
 これら意見の陳述は,犯罪事実の認定のための証拠とすることはできませんが,犯行時の心理的状況等を,被害者自身の言葉で説明することは,被害者の精神的な重荷を解放することにも役立つものです。
 なお,審理の状況その他の事情によっては,法廷での意見の陳述に代えて,意見を記載した書面を提出していただく場合などもあります。

民事上の闘いについて示談が出来た場合の刑事裁判の公判調書への記載

 被告人との間で,事件に関する損害賠償など民事上の争いについて示談ができた場合には,審理をしている裁判所に被告人と共同して申立てをすることにより,その示談の内容を刑事裁判の公判調書に記載することを求めることができます。

公判調書に記載されるメリット

 民事裁判で和解ができたのと同じ効力がありますので,約束どおり支払われない場合に,民事裁判を起こすことなく,強制執行の手続をとることができます。

損害賠償命令の申し立て

損害賠償命令の申し立て 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(未遂を含む),強制わいせつ罪や強姦罪,逮捕監禁罪,略取誘拐罪などの犯罪類型が,本制度の適用対象となる犯罪です。
 これら一定の刑事事件が地方裁判所に係属している場合には,被害者の方等は,その刑事事件を担当している裁判所に対し,被告人に損害賠償を命じる旨の申立てをすることができます。被害者が申立てをすると,その裁判所は,刑事事件の判決をした後に,民事の請求について原則として4回以内の審理を行って損害の賠償を命ずるというのが,本件制度です。
 刑事事件の被害者が,加害者に対して民事上の損害賠償請求をする場合,刑事裁判とは別個に民事裁判を提起しなければならないとするのは,被害者に二重の負担を強いることになります。ですので,刑事手続と民事手続との有機的連携を図ろうとするのが,本件制度なのです。

被害者等への通知

被害者等への通知 被害者や親族等の方々は,事件の処分結果や,裁判の進捗状況,判決内容等について,強い関心を持っています。
 また,目撃者等の参考人の方も,自分が協力した事件の行方に関心を持っていることでしょう。
 そこで,検察庁は,被害者や親族等の方々に対し,事件の処分結果,刑事裁判の結果,犯人の受刑中の刑務所における処遇状況,刑務所からの出所時期などに関する情報を提供し,参考人の方に対しては,件の処分結果,刑事裁判の結果,犯人の刑務所からの出所時期などに関する情報を提供するために,被害者等通知制度を設けています。

被害者,家族の場合

 まず,証言をする際,家族や被害者の方々でしたら,検察官による事情聴取の際に,通知希望の有無や通知を希望する事項について聞かれますので,その場で通知を希望する旨を伝えれば,本制度を利用することができます。

目撃者等,参考人の場合

 目撃者等の参考人の方でしたら,基本的には,事情聴取の際に,検察官が通知希望の有無を確認するような運用はしておりませんので,本制度の利用を希望する旨を検察官に申し出る必要があります。

注意が必要な場合

 なお,通知を希望したとしても,事件の性質によっては通知をしない方がよいと検察官が判断することもあります。そのような場合には,全部又は一部について通知を受けることができませんので,注意が必要です。

※法務省 https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-2.html#3 参照